こんにちは! モユルデザインです。
今日は、さいきんとても印象に残った書籍がありましたので、こちらでご紹介してみようと思います。

黄色い家
川上未映子 著
舞台は1990年代の東京。主人公の花は母の知人・黄美子とともにスナック「れもん」を営業。しかし、ある日火事で仕事を失い、生活を守るために犯罪に手を染めることに…。
この物語の大きなテーマのひとつが「お金」です。
それだけでも自営業の身としては身につまされるものがありますが、私が惹かれたのは、
「社会から取りこぼされた人たちに光を当てる視点」です。
川上未映子さんの作品は、声をあげにくい人たちに寄り添う眼差しが常にあって、
この『黄色い家』では特にそれが強く感じられました。
■ 少しだけ個人的な話
私はこの仕事をしながら、ときどき自分が“洗練というもの”から遠い場所にいる感覚になることがあります。
青森の田舎で育ち、東京へ出てきました。
デザインを学べば学ぶほど、なにか上質なものや建物を見れば見るほど、
子どもの頃の風景──
漁師のおじさん、商店のおばちゃん、錆びたトタンの屋根、軒先で干されている魚の匂い…
そんな原風景を思い出して、胸が痛くなることがありました。
「美しいものをつくる仕事」に憧れながら、
自分のルーツに蓋をしてしまうような気がして、苦しくなる瞬間があったのです。
美しいという感性を純粋に追求できるのは、 一部の限られた人だけなのでは、とずっと思っていました。
それでも、デザインは編み物のように素朴に楽しめる側面があるので、その行為そのものはとても好きでした。
この矛盾に答えをくれたのが、“お金”でした。
■ 「デザインは、人にお金をもたらせる手段」
尊敬しているデザイナーさんが、
「デザインは人にお金を儲けさせられる手段だ」と言っていました。
「美しさを追求するだけじゃない。誰かの生活を支える力にもなる」
という意味です。
その言葉で、デザインが突然“遠い世界のもの”ではなくなりました。
私のルーツともつながり、救われた気持ちになったのを覚えています。
お金は、誰にとっても何かしらの力になるもの。
だからこそ人を狂わせることもあるし、守る手段にもなる。
■ 物語の中の「お金」「黄色」「家」
『黄色い家』の主人公・花も、この“お金”に翻弄されていきます。
その心理描写があまりにも自然で、怖いほどでした。
金運を象徴する「黄色」。
希望の色でもあり、不安定さを抱える色でもあり、風水では運気を左右する色。
この小説を読んでから、黄色い財布がほしくなったくらい
その象徴性がリアルに感じられます。
そして「家」。
日本語の「家」は、家庭・連帯・愛情・愛憎・居場所…
非常に広い意味を持つ言葉です。
花にとっての「家」を守るために、お金への執着が深まっていく。
読みながら、
私は自分にとっての“家=生きるために本当に大切なもの”とは何だろう?
と考えさせられました。
人によっては家族や生活かもしれないし、
芸術や推し活、スポーツの人もいるかもしれません。
お金はあくまで、それらを守るための手段。
その順序が逆転したとき、人は狂ってしまう──
それが自分事としてひしひしと伝わる作品でした。
■ 読後の感想
とても重いテーマでしたが、
「人はなぜお金が大事なのか」
「お金の先で何を守ろうとしているのか」
そんな問いが心に残りました。
そして、私自身にとっての「いえ」とは何だろう?
そんなことを考えるきっかけをくれました。
きっとデザインという営みも、
人や事業の抱える“いえ”を守るための一つの手段なのだと思っています。
あなたにとっての「いえ」は何ですか?
私は図書館で予約して、400人待ちでようやく手にしました!
人気作なので、よければぜひ。
花火とフラメンコで夏を満喫!
こんにちは!モユルデザインです。毎日とても暑いですね。今日は夏真っ盛りのこの時期にピッタリな、あるイベントのご紹介をさせてください。 なんとも珍しい!花火とフラメンコの共演千葉県館山市では、毎年8月8日に館山湾花火大会が開催され、約1万発の花火が夜空を彩ります。そんな花火大会の中で、同時に開催されるイベントに「花火とフラメンコ」という催しがあります。...
多言語案内ツールの制作承ります
こんにちは!モユルデザインです。 さいきんは、都内だけでなく日本各地で、海外からの旅行客の方をとても多く見かけるようになりました。今日はそういった情勢から多くご依頼をいただきます、「多言語案内ツール」についてご紹介します。 外国人対応でお困りの事業者様(特に小売業の事業者様へ)前回のブログにも書いたのですが、今年3月の海外旅行客の増加率は、前年比の70%増、308万人以上の観光客の方が日本を訪れて頂いたとニュースがありました。少し前に、私自身も箱根に足を伸ばした際、大勢の観光客の対応に苦労されている観光業の方々を目にしました。...
ワードやパワポでの游ゴシックの使い方
こんにちは!モユルデザインです。今日は、第何弾目かの書類作成お役立ちTipsシリーズです。 美しい游ゴシックみなさまは、ワードやパワポなどで資料を作成する際、こだわりのフォントはありますか? 見やすいメイリオを使う方が多いと思いますが、「游(ゆう)ゴシック」派の方もいらっしゃるのではないでしょうか。 「游ゴシック」は、少し使っただけで、他のフォントとは一線を画す上質感がある、フォントだと思います。...
折りをつけるとき「紙の目」意識していますか?
こんにちは!モユルデザインです。 いま仕事で、2つ折りのパンフレットをお作りしているのですが、もしこういった「2つ折り」の媒体を特急で社内印刷することもあるかと思います。その際に、作業がちょっと効率的になるお話をご紹介したいと思います。 紙にも「流れ」がある紙は、その製造工程で、パルプを一定方向に流してできる長いロール紙から生まれます。そのロール紙から、A4、A3などの各規格をカットしていきます。...
都内23区/杉並区/遠方歓迎/30代女性/
女性安心/地方でもOK/女性デザイナー/
moyuru design
社用携帯:090-2156-4077
e-mail:tsuzuki@moyuru-d.com
所在地:〒168-0064 東京都杉並区永福1-32-7
アヒルの「もゆる君」がデザインのもやもやを考えるブログ
Copyright(c) moyuru design All rights reserved.




最近のコメント